工房通信 2009

2009/11/19
美術館に納める額を制作しました。
松本英一郎氏の代表作「退屈な風景」80号です。熊本県にある宇城市立不知火美術館に収蔵されます。材質はウォールナット、絵の雰囲気から額の四隅はあえて留めを避けています。額はあくまでも絵を引き立たせる脇役なのですが、それ相応の品格を、かもし出すことを考えながらの制作でした。

氏との縁は不思議なもので、十数年前、テレビで「さくらうし」という絵を見て何故か妙に魅力を感じ記憶にとどめていました。それから数年後、テーブルを作りたいということで偶然ご夫婦とお会いし、奇遇さに驚いたものです。それ以来のお付き合いが続いています。
2009/11/10
今月の三日、東日本実業団駅伝のゴールゲートを設営する仕事をしていました。場所は埼玉県の熊谷です。数年前の国体のメイン会場だった陸上競技場です。こういう競技場のフィールドに立ったことが無かったので、仕事とは別に興味深く、なかなか面白かったです。仕事は赤い巨大な柱とトラックの周囲にスポンサーのコマーシャルボードの設置です。普段ほとんど工房内の仕事が多く、青空の下の作業は、新鮮に感じ、たまにはこういう仕事も楽しからずや、でした。
2009/10/25
昨日まで、現場仕事していました。古くからの知り合いが、自宅を改造してカフェを開くと言うので、色々と作っています。この日は外階段の板の取り付けでした。クリ、神代ケヤキ、スギ、ヒメコマツ、ニレと使った豪華な階段です。オープン予定が迫って来ました、まだまだ作らなければいけません。忙しい日が続きます。実は、HPでの自分の姿を初めて載せました。板を持って運んでいるのが私です。(警備の人ではありません)

2009/09/23
昨日、仏壇納品しました。お彼岸の中日の前日で、何とか約束が果たせ、ほっとしています。机は仏壇の前に置くもので、仏壇の台ではありません。

この仏壇の撮影をしている時、デジタルカメラの調子がおかしくなり、綺麗に撮れなくなったので、慌てて修理に出しに購入した電器店に行った所、「修理ですか?」って感じで、いかにも「新しいのを購入されてはいかがですか」と言いたげな様子。その様子を見て、絶対修理と意は固くなり、修理依頼して、店を後にしました。デジタル機器の進化のスピードは驚く程早く、使われる部品の更新サイクルの短さも理解はしているのですが、壊れたら、新しいものへという考え方にはどうしても、納得できないものがあり、これでいいのかという思いが募ります。

2009/09/11
工房移転に伴って、NCルーターを手放しました。NCルーターでやっていた作業をハンドルーターで行うにあたって、小回りの効く軽量の小型ルーターを入手しました。色々と探していたのですが、これだというものがなく、困っていた所、廃番になっていたメタボの小型ルーターが復活したと聞き、購入しました。左の大きいやつは、素晴らしく高精度な加工の出来る優れものです。が、メーカーが買収され、今は生産していません。メタボのこの機種も、「良いものは消えて行く」方程式で無くなったのかと、思っていましたが、そうではありませんでした。生産は続いていたのですが、輸入代理店の事情で一時、扱い中止だったようです。良いものは確かに、価格もそれなりにしますが、そういう経済的な問題で、姿を消すというのも寂しい限りです。経済の低迷期だからこそ、本当に価値のあるものを見極めて、選択していきたいものです。
3800壁面収納、クリックで拡大 2009/08/15
先日、引っ越して初めての納品をしました。W3800*D600*H2440の壁面収納です。とにかく大きいのです。カウンター板、3800*600*35なのですが、新しい工房だと作ってしまうと、他の作業に影響が出るので、塗装直前に作り、置いたっきりでした。移動する場所がないのです。色んな苦労がありましたが、何とか無事に納品でき、ほっとしています。次ぎの仕事の前にやりたかった床張り、出来そうもありません。今年中には、床張り、看板、ショーウインドー、何とかしたいです。
沢蟹只今塗装中

仕事は、引越し後、初めての納品を二日後に控えて、塗装中です。大きな壁面収納と収納付きテーブルです。慣れない工房と、納期に追われ苦戦しましたが、何とか納品にこぎつけられそうです。
2009/07/27
「珍客」です。朝、工房に来て見ると、洗面所に沢蟹がいるではありませんか、どこからどうやってはいって来たのか?。確かにここは、南側と北側を低い山に囲まれた狭い谷に位置していますので、沢蟹がいても不思議はないのですが、迷い込んで、水を求めて洗面台ということなのでしょう。カメラを向けると一生懸命、威嚇する様子がなんともけなげです。撮影のあと、谷川に返しておきました。
2009/7/16
梅雨明けと報じられた翌日から、これぞ夏という日がつづいています。自宅より工房への途中にある、ケヤキ並木の画像です。この辺り、巨大な霊園がいくつか連なっており、自然が多く残っている地域で、自転車でここを通ると駅前辺りより気温が低いのを確かに感じます。自然の力ってやっぱり、凄いんです。当たり前のことなのですが、自分の肌で直接感じると、改めて「凄い」と思うものです。この道、実は、かなりの下り坂、下りがあるということは、上りも確実にあるのです。自転車通勤の私にとっては「心臓破りの坂」でもあります。
クリックで拡大クリックで拡大
2009/6/26
新工房へ引っ越して、約二週間、「片付け三昧」でした。疲れました。やっとの思いで何とか仕事が出来る状態になりました。看板の制作とか、正面のガラス面の処理とかやらなきゃいけない事はまだまだあるのですが、もう幾らなんでも、仕事しなくちゃ干上がってしまいます。「後は暇を見て」ってことになります。実はこれが問題!!「暇を無理やり作って」の気持ちでやるしかありません。
2009/6/10
本日、引越し完了しました。とはいえ、ご覧の通りのありさま、仕事するには程遠い状況で、まさに「足の踏み場も無い」とはこのことです。住所は八王子市川町627-1です。元々は電気店だったらしく、通りに面した側はガラス張りになっていますので、一目で木工屋と分かると思います。(但し、片付いて木工作業が出来る様になればの話で、それまでは、不用品回収業者に見えるかも)近くへお越しの折は、是非お立ち寄り下さい。屋号を「クラフソン城山ワークショップ」から「クラフソン」に変更しましたので、HPのタイトルとかもリニューアルしなくてはいけないのですがいけないのですが、まだまだ先のことになりそうです。
2009/05/19
久々の更新です。実は三月より、工房を移転しようと思い、物件を探していました。まだ契約前ですが、ここへ移転することに決めました。場所は八王子です。移転先での営業は6/10頃の予定です。詳しくは後日あらためて。
保育園間仕切り棚 2009/03/30
保育園の間仕切り棚を作っています。優しい印象を受けるパイン集成材で作っています。塗装は安全性と汚れを考慮して、水性ウレタンです。幼児の施設で使うものですから、普段あまり気にしない部分も非常に気を使っています。面取りの大きさだとか、指を挟まない寸法とか、頭が入らない大きさとか、小さな子供達を想像しながらの制作です。あと二三日で納品、最後の追い込みです。
屏風修理 2009/02/28
屏風の修理しました。夏用の枕屏風でしょうか?、日本の粋を感じさせる古いものでした。確かめた訳ではないですが、戦後間もない頃のものではないかと思います。限界まで細い杉の枠に竹ヒゴを組み込んであります。細かい手仕事が見事です。今回修理したのは何箇所かの部材が破損していたのを復元するというものでした。細さと杉という材質故、全体に緩んでおり、これも一度、全てを分解して、手を入れて組み直せばまだ数十年使えると思うのですが、それも費用との相談になるのも、又、現実です。こういう本当に良いものを、直しながら永く使うという文化を取り戻す必要性を強く感じさせられる仕事でした。
かんばん「おくね」かんばん「松本」 2009/02/07
看板を二つ作りました。材料はケヤキです。このケヤキは、私が以前所属していたソリウッド・プロダクツ(株)のオーナーに譲り受けたもので、おそらく製材後数十年経過していると思われます。この木はケヤキの中でもかなり特殊な木でした。色の濃いケヤキなのですが、年輪は比較的荒く、硬くて重くしっかりとした印象です。通常色の濃いケヤキは年輪は細かく比重が小さめなものが多いのですがこれはそうではありませんでした。硬くて色が濃く仕上げた表面は、光沢が素晴らしく、非常に綺麗です。木を見る時のものさしがまた一つ増えたような気がします。
●●●饅頭店頭販売什器1●●●饅頭店頭販売什器2 2009/01/30
さて、これは何でしょう?
正解は「●●●饅頭店頭販売什器」です。と言っても「何だそれ?」ですよね。デパートの食品売り場で催される▲▲物産展で各地の名産品を売っているあれです。木地の小箱の上に出来たての●●●饅頭を並べて売るのです。デパートで見かけたらお買い上げ宜しくお願いします。黒い箱はタモ材/黒目はじきウレタン、木地の小箱はヒノキ材/オイルという仕様です。ランチョンマットの杉も趣があってよいのですが、やっぱりヒノキはヒノキ、素晴らしい!!。使い込まれてもっと美しくなるであろうと想像しながら作りました。
杉ランチョンマット 2009/01/30
ランチョンマットの試作品です。杉の柾目(赤太部分使用)とウォールナットで作りました。
この杉、私の生家の裏山で育った木です。私が生まれた頃植えたもので、約50年の樹齢です。用材としてはまだまだなのですが、訳あって切り倒されたものが山に放置されていたので、使ってみることにした次第です。普段あまり使うことのない針葉樹ですが、清潔感があり又、何故かほっとさせてくれます。日本人の感性に合っているのでしょう。(見慣れているとも言えます)使い込んでどうなるかを見極めて商品にしたいと考えています。
2009/01/16
遅ればせながら、「明けましておめでとうございます」。今年の仕事初めに作ったもの、「集塵ステーション」(自分で命名)です。手持ちの電動工具を使う時、可能なものは出来る限り集塵機に繋いで使うようにしているのですが、床からホースがきていると材料とか作業台とかに集塵ホースがひかかって不自由を感じながらの作業になっていました。工房の天井高は5メートルと高く、天井から吊るすのは難しい、考えた末こんな形になりました。このままだとホースがちょっと短く使い勝手が悪いので、長いホースに取り替えれば完了です。

100年に一度などと言われているこの不況、確かに、身近に感じています。この先、一時的に景気が回復することはあっても、落ち着く所はかなり低いレベルになるような気がします。何でも手に入る便利で豊かな生活は良く考えれば不必要なものが沢山あるように思えます。本当に必要なものだけで豊かな暮らしが送れる方法を考えなくてはいけない時が来たような気がしています。
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